彼女にはそのくらいの力があると思った。


耳から離れないあの歌声。

姉ちゃんとの息の合ったハーモニー。


小学4年生の俺にはあまりにも凄すぎてその場から動けなかった。



"詩乃ちゃん"と呼ばれた少女は俺にとって頭から離れない特別な存在になった。



砂浜に響く3人の笑い声は今まで、心を揺さぶるような演奏をしていたとは思えないほど普通だった。



小学校にいる無邪気で真っ直ぐな同級生達と変わらなかった。