今日はいつもよりだいぶ早く家を出た。特に理由はないけど、そういう気分。
いつもなら通学路にはたくさんの同じ中学生がいるけど、今日はほとんどいない。そりゃそうか、こんな時間に家を出るのは生徒会の人が、よほど優秀なひとだけだ。だからきょうは私も優秀だ。なんてね。

学校の土間につき、上履きに変えようかと思った時、自分のクラスの下駄箱には誰かの靴があった。
「あれ。もう誰か居るんだ。」
ちょっとがっかりした気分で教室に上がっていく。ガラリとドアを開けて目に入ってきたのは

あいつ。

「あ...はる、か。おはよう」
「...おはよう。」

(遥くんのこと好きでしょう)

葵の言葉を思い出す。なんだか遥と話しにくい。
うーんと、悩んでるうちに遥が
「お前、今日早いな。」
と話しかけてきた。
「うん。今日はちょっと早く出たの。遥もはやいね。」
とりあえず笑っとけばいいか。と思い笑顔で対応。
「俺はいつもこれくらいの時間にきてる。優秀だからな。」
「なにそれー。」
と言うと遙はわははっと笑った。

冗談混じりの遥の言葉。さっきまで緊張していた私がバカみたいに思えた。好きか嫌いかなんて分からないけど、遥と話すのは嫌いじゃない。