7月に入り、どんどん気温も高くなっていく。空は真っ青に広がり、大きな入道雲が映えて見える。蝉も6月のあの頃とは違い、元気に鳴いて夏の訪れを知らせてくれる。

放課後、葵と帰っていると葵が突然
「秋、最近遥くんと仲いいよね。」
と言った。何を言うかと思えばそんな事か。別にそんなことはないと思うけど。
「なんかさ、違ったらごめんね?あのさ...」
葵が言いにくそうに口を開く。どうしたの?、といい私は葵に近づく。
「秋って、もしかして、遥くんのことー...」
葵は黙った。
「?葵。どうしたの。」
「...」
「...言ってくれなきゃ分からない。葵。どうしたの?」

「秋、遥くんのこと好きでしょう。」


何を言っているのか一瞬分からなかった。
私が遥をすき?

「あ、葵?何言ってるの?私が遥のこと好きなわけないじゃない。」
葵はふぅ、と息を吐くとにこりと微笑み
「自分じゃ分からないものなのね...」
と言った。
言ってる意味がよく分からなかったけど、とりあえず何か勘違いしているのは分かった。

「葵。ほんとに違うからね。」
「はいはい。」
葵は相変わらずニヤニヤしている。
はぁ、意味がわからない。好きなわけないじゃない。
葵と別れたあともずっと葵の「遥くんのこと好きでしょう」が頭に残って離れない。

あるわけないじゃない。確かに遥と話すのは楽しい。けど、好きなんて思わない。
口悪いし、かっこよくもないし、話も噛み合わない。
むしろ恋愛面で言えば嫌いだよ。遥なんて。