私は放課後葵に言われた通り、葵のおうちに遊びに行った。葵の部屋は相変わらず汚い。まぁ私はあまりそういうの気にしない性格って言うか...私の部屋も似たようなもんだから気にならない。

葵の部屋でしばらくゴロゴロして漫画を読んでゲームをしてとしていると、ふと席替えの事を思い出す。

「ねぇ葵。席替えっていつするの??」
「うーんとね来週木曜の学活の時間にするって先生は言ってたよ。」
「そう、なんだ。ちょっと早くない?まだ1ヶ月も立ってなと思うけど。」
「確かにね。でも夏休み明けてからだと野外学習のことで忙しくて席替えが出来ないんだって。」


そういう事か。だったら仕方ないか。でも正直席替えはやだな。何でだろう...

「席替え。したくないな。」
「えっ?」
葵が驚く。私、声に出してたのか。気が付かなかった。
「なんで席替えしたくないの?秋は遥くんと離れたいって言ってなかった?」
「...そうだけど。けど、なんか凄くもやもやして。」
「.........秋」
葵が近寄ってくる
「秋さ、やっぱり遥くんのこと好きでしょう。」
「...またそれ?だからそんなこと―――――」

「じゃあどうして席替えしたくないの?いまの席の位置が好き?私と離れたくないから?違うよねだって別に私とは席離れても話せるし、今の位置は嫌だって言ってたもの。」

確かにそのとおりだ。私は葵と席が離れても話せる。今の席の位置は好きじゃない。
だったら、私はなんで席替えが嫌なのだろう。

「ねぇ...秋。知ってる?『恋』って言うのは自分では気づきにくいんだよ。見てる側からの考えだとね、秋はもう遥くんが好きだと思う。」

「だから...!!葵!!」

「秋はさ遥くんの隣の近くに女の子が座ってその女の子と遥くんがたくさん喋ってたらどう思う。」

「.........。」

それは、やだ。かもしれない。なんでかは分からない。認めたくない。でも、遥がほかの子と...

「やだ、かも、しれない。」

と言うと葵はにこりと笑って

「うん。秋、それでいいの。自分の気持ちに素直になって。秋には分からないかもしれないけどきっとその『だれかとしゃべってたらやだ』って言うのは...要するに取られたくないってことでしょ。」

「うん...」

「それはやっぱり恋ってやつだよ。」

途端に胸が苦しくなった。私は遥が好きだったんだ。遥と一緒に入れて嬉しいって言うのはそういう気持ちだったんだ。
目から涙が流れてくる。悲しいわけでもない、寂しいわけでもない。けど、何だか心がほっとして暖かい気持ちになった。

今日、私は遥に対して初めて涙を流した。

葵は何も言わず、ずっと

私が泣き止むまでそばにいてくれた。