席が隣だと嫌でも話す機会があって、この間初めて話した二人は、もう仲良くなっていた。


周りの男の子に比べてはしゃぐタイプじゃない。それでもみんなに好かれてる。佐倉くんはそういう男の子だった。


クールなのに、マスコットキャラ的な、他にはいない存在。


「何読んでるの〜?」


「漫画。多分知らないんじゃない?」


そういって表紙を見せてくれる。


「ほんとだ、知らない!」


「でしょ?」


紗英が佐倉くんのことを好きなの、なんか意外だなって思う。もっとやんちゃな子が好きそうだからって言ったら、紗英は怒るかな?


「あっ…」


今なら聞けそうだと思った。


「なに?」


「ねぇ、ほんと突然だよ?好きな人いる?」


「いないけど。」


よかった〜かな?紗英だったら本当に嬉しかったけど、紗英じゃない子の名前を出されるよりは、まだ、よかった。


「そっかぁ、それだけ!続き読んでいーよ!」


「なんだそれ。」


佐倉くんは少し笑いつつも、読んでいた漫画に目を戻す。