「あ〜!あの子名前なんだっけぇ…?」
「佐倉涼太だよ。話したことないの?」
佐倉涼太くん。これはあとから歩美が教えてくれたんだけど、佐倉くんと私は今まで五年間、ずっと同じクラスだったらしい。佐倉くん、知らなくてごめんっ!
「多分ないかも…なんか、優しそうな子だね!」
正直、顔はイケメンとは言えなかった。
ブサイクでもないんだけど、”優しそうな子”って印象がぴったりだった。
「優しいよ。そこが好きなんだもん。あっ、他の人には言っちゃだめだからね!」
「由梨と紗英とうち、三人のひみつだね〜。」
「うんっ。二人には協力してもらうから!」
「当たり前だよ、何でもするから言ってね!」
「私もーっ!応援する!」
このときは本当に思ったんだ。
紗英の恋を応援したいって。