もうすぐ夏休みに入るけど、こんなに待遠しく無い夏休みは初めて。


学校に来るのは楽しみになったけど、今では土日の二日間でさえ、彼に会えないと思うと、憂鬱で、嫌だった。来てもあんまり話すことも無いんだけど…


教室の一番うしろ、私はカーテンにくるまっていた。


「最近どうなの?上手くいってる?」


歩美の声。


「ん〜…」


「うち前から思ってたんだけどさ、由梨って自分から話しかけに行かないよね?」


「だって…行けないよ…何て声かけたらいいかわからないし…」


それに、恥ずかしいし。話したいのに自分から話しかけに行くって、できない。


「確かに難しいかもしれないけど、何もしないままでいいの?このまま誰かに取られちゃったら嫌じゃ無い?」


「それは、いやだ。」


絶対にそんなのいやだ。


「紗英だっているんだし。うちは二人とも味方だからどっちを応援するとかないけどさ、なんか、由梨を見てるとお節介焼きたくなる。」


「…そうだよね、なんかしなきゃって、分かってるんだけど。」


「うちと一緒だったらイケる?」


「へっ?」


「いつまでもぐるぐる巻きになってないで、おいでっ!」


歩美に右手を取られ、そのまま彼の元へ…