時間割りを見る振りして視界に入れる。初めて見た時はイケメンじゃないと思ってたのに、だんだんかっこよく見えてくる。顔がとかじゃなくて、なんか、存在がかっこいい。
私は次の授業の準備をしようと引き出しをあさる。すると、
「いつも一人で帰ってんの?」
「ふえっ!?」
自分でもどこから出したのか分からない声が出た。いつも急なんだもん、きみ。
「ああ、えーっと、そうだよ!ひとり!」
「一緒に帰る?」
「えっ…でも…いいの?」
「うん、一人じゃ危ないよ。」
なんでそんなこと言うかな。
でも、そっか。私が今この瞬間も嬉しいこと、佐倉くんは何にも知らないんだ。「ありがとう」とお礼を言うと、何事もなかったかのように席に戻って行った。
待ちに待っていたような、来るな来るなと思っていたような…そんな放課後。ーー