「そっかぁ。」


「ごめん…本当にごめんね…」


ごめんねしか言葉が出てこない。今にも泣いてしまいそう。泣きたいのは紗英の方だって分かってるのに。


「許せない。なんで?協力するって言ったよね?」


「…うん。私も協力したかった。この気持ちは本当だよ?でも、もう出来ない…」


「いいよ。協力できないって言うなら、もう佐倉くんと話さないで。」


「え…?」


「歩美に監視役頼むから。」


そう言うと私の左腕を引っ張って、歩美のところへ連れて行った。


「うそでしょ?」


「うそじゃないみたいだよ。信じられないよね?友達を裏切るなんて。」


「由梨、今の話ほんとう?」


「…ごめん。」


「ほらね?約束したんだ、もう佐倉くんと話さないって。だから歩美に監視して欲しいの。」


「待ってよ紗英、落ち着こうよ。」


「歩美まで紗英のこと裏切るの?」


「そうじゃなくて…」


どうしよう…どうしよう…
でも悪いのは誰か分かっていたから、私は何も言うことができない。


「ねぇ歩美、最初に好きになったのはだれ?」


「…そうだね…わかったよ。」


歩美も紗英に押されたまま、とりあえずこの場を収めようという気持ちでそう答えた。


紗英は怒ったまま自分のクラスへ戻っていく。
私たちも、教室へ入った。