新しいクラスは名前順に席が決まる。


仲良くなったとはいえ、遠い席にいるのにわざわざ話しかけに行くほどではなかったから、横顔ばかり見ることが増え、話す機会は減っていく。


話したい。そこに紗英のことを思う気持ちはない。ただ、私が佐倉くんと話したかった。


ダメだ…。
諦めようと思った、何回も何回も。でも、ダメだった。好きだって思って、それ以外は思えなくなってしまった。


ーー紗英に本当のことを話そう。


すごくすごくこわかった。だって、最低なことだと思う。協力するって言ったのに、応援するって言ったのに。


自分でも信じられない。よりによって、友達の好きな人を好きになるなんて。多分、初恋だし…


でも、隠しているのは、もっと最低なことだと思う。だから、紗英に話そう。授業が終わるチャイム。号令に合わせていつもより適当にお辞儀をすると、隣のクラスへ向かった。


「紗英…!」



「あ〜由梨!ほんとに来てくれた!」



佐倉くんに感じるのとは違った胸の痛みを感じた。


「…紗英、実は…ーー」