冬休みが終わって数日経つ一月。
教室の空気はすっかり冷えていた。
「寒い〜…!由梨(ゆり)の服あったかそう!」
長袖をできるだけ手に被せた紗英は、私にそう言ってくっついて来た。
「寒すぎるよね、紗英(さえ)にくっつき虫〜!」
「あははっ。くっつき虫〜!」
トイレから戻ってきた歩美(あゆみ)が、
「二人で何してるの?混ぜてよー!」
と、少し拗ねた声で入ってきた。
休み時間はこうしていつも三人で居た。
少し気が強いけどかわいくて
二つ結びが似合う紗英と、
愛くるしい見た目からは想像できない
世話好きな歩美のことを、
私はとってもいい友達だと思ってる。