その場から動けなくなっていると、女の子の方が帰っていく足音が聞こえた。

それから唯くんのため息。



そしてこっちに向かってくる、唯くんの足音。


「うわ、びっくりした。柑奈?」


柱の陰にいた私に驚いた唯くんが、目を見張っている。



「ごめん、立ち聞きするつもりじゃ、なかったんだけど……」



お茶を買いに来たら声が聞こえて、と続けたら、唯くんはそっか、と頷いた。



唯くん、やっぱりモテるんだなあ。
どうして私なんかと付き合ってくれてるんだろう。