「……柑奈、ここ座って」
ふたりで並んでソファーに座ってテレビを見ていたら、唯くんがふと思いついたようにソファーの下の床を指差す。
不思議に思いながら床に降りて、唯くんの足の間にすっぽりとおさまった。
「なに……?」
「んー」
唯くんはそっと私の手からタオルとドライヤーを取って、スイッチを入れた。
「え……」
ドライヤーの風の音がして、暖かい風が私の髪を揺らす。
まさか唯くんが髪を乾かしてくれるなんて思わなくて、びっくりしてしまう。
ちょうどいい暖かさの風と、唯くんの優しい手つきが心地良くて、なんだか眠くなってしまう。