「シャンプー、柑奈の匂いする」



何気なくそう言って、タオルで髪を拭きながら、唯くんが私の隣に座る。


唯くんが座った右側にソファーが傾いて、トン、と肩が触れる。
触れた部分に一気に熱が集中して、息が苦しくなる。


唯くんの髪からは、本当に私と同じシャンプーの匂いがして。
唯くんにはちょっと似合わないバラの香りに、なんだかドキドキした。



「柑奈も風呂入ってくれば?」

「あ、い、行こうかな!」


私は1人でテンパっているのに、唯くんはなんだか余裕で。

立ち上がろうとする私の手首をつかんで、にやりと笑う。



「怖いなら一緒に入る?」


「は、入らないよ!唯くんもう入ったでしょ!」


焦って顔が熱くなっている私を見て、唯くんは満足げに笑う。

意地悪め。