「どうしよう……唯くんとふたりきりだ……」
唯くんがお風呂に行ってしまって、1人になったリビングでつぶやく。
ていうか、唯くんがうちのお風呂に入ってるってだけでもドキドキしてしまう。
広めのソファーに体育座りをして、テレビをつけた。
テレビでは、レインコートを着たアナウンサーが、強風と大雨の中でリポートをしている。
さっきまで怖かったけれど、唯くんが来てくれただけで落ち着いている自分がいる。
それどころか、家にふたりきりという状況への緊張のほうが大きい。
「お待たせ。風呂ありがとな」
唯くんが出てきたらまずなんて言おうか、とか。
私、お風呂上りを唯くんに見られるの!?とか。
そんなことを考えて1人であわあわしていたら、いつの間にか唯くんがお風呂を上がっていたらしい。
びっくりして肩を揺らして振り返って、「っ!」と息をのむ。
唯くん大きめの黒いTシャツを着て、髪が濡れている。
ラフな格好とセットしていない髪はレアな姿で、なんだか色っぽい。