緊張でひとりあたふたしているうちに、ピンポーン、と玄関でチャイムが鳴った。

ほ、本当にきちゃった……!



ドキドキが止まらない。

それでも雷が怖い気持ちの方が強くて、パタパタと玄関に走って行く。



「唯くん、ありがとう!」



ガチャン、とドアを開けたら、雨と風の音がひときわ大きく聞こえる。

少しドアを開けただけでも雨が入り込んでくるくらいの大荒れの天気で、唯くんも傘が使い物にならないくらいに濡れてしまっていた。



こんな天気の中、私の家まで来てくれた唯くんのことがたまらなく愛おしくて。

ぎゅうっと抱きついたら、「濡れるぞ」と自分よりも私の方を心配してくれる唯くんのことが、昨日よりもっとずっと大好きで。



「柑奈、大丈夫だった?」



濡れちゃっているのに、こんな風の中歩いてくるのは大変だったはずなのに。

それなのに私の顔を見て、泣きたくなってしまうくらい優しい顔で、私の心配をして、ぎゅっと抱きしめ返してくれる唯くん。


嬉しくて、申し訳なくて、こくこくと思いっきり頷きながら唯くんを家に通す。