「もうすぐ夏休みだね」

「もうそんな時期?」

「そうだよ。いっぱい遊ぼうね」

「そうだな」




舌の上でじゅわっと溶けるソーダ味。


歩いているうちに、トン、トン、と何度か触れて。

もう一度触れた時、ぎゅっと握られた私の右手。

暑いのに、離さないでほしくて。
私もそっと、その大きな手のひらを握り返した。




家がもっと、遠ければいい。

あと1時間くらい、家に着かなければいい。

もっとずっと、唯くんと一緒にいられたらいいのに。




「……ん、着いたぞ」




そんな願いもむなしく、もう着いてしまった私の家の前。

さりげなく家まで送ってくれる唯くんが、優しい。




名残惜しくて手を離せない私に、少し考え込んだ唯くん。