side 愛花


成瀬さんが部屋から出て行くのを
ぼーっと見つめる。



少し頭が痛いと言ったけど本当は
石で何回も殴られてるみたいに
ズキズキ痛むし気持ち悪いし

身体中が熱いのになんだか寒気がするくらい最悪な状態だったりする。





…水、飲みたい。




成瀬さんが置いていってくれた水を取ろうと手を伸ばすけれど届かなくて。


でも体を自力で起せるほどの気力はなくて結局やめた。




目を閉じて眠ろうとしても
寝ることはできなくて、

風邪がなおって学校に行ってら
噂はもっと広まっているんじゃないかとか
また呼び出されるんじゃないかとか

そんなことを考えて
別の意味で頭が痛くなった。






眠れないからひたすら天井を眺めていると
部屋の扉がそっと開いた。






「起きてたんだな」


「あ、日向くん…」




お盆を持ちながらこっちに歩いてくる。





「お粥作ってきたけど、食べれそうか?」


「…ありがとう。あとで食べるね」




せっかく日向くんが作ってくれたお粥。


食べたいけれど、今食べたらきっと吐く。





申し訳ないけれど、あとで食べよう…。