もうすぐ逃げられる。


そして玄関の扉を開けて、外へ出た。


別荘から脱出できたのだ。


「拓夢…」


アズマは耳元でつぶやいた。


「助けてくれてありがとな…拓夢が来てくれてよかった…」


それを聞いて、首を横に振る。


「悪かった。本当にごめん。来るの遅くなってごめん…」


本当はもっと言いたいことがたくさんある。


けど、今はこれしか出てこなかった。


とにかく今は早くタクシーに戻らなければいけない。


再びアズマを支えて、森の中を歩き出そうとしたその時だった。


キキッ‼︎


目の前に黒いセダンが停まった。


そして運転席から出てきたのは…


成瀬だ。


どうして?何でこんなところに成瀬が⁉︎