何が言いたかったのかわからない。


だけど、わかりたくもない。


俺は隣で身を縮めて泣いているさおりの肩を抱いた。


「大丈夫か?」


「うん…押さえつけられただけで何もされてないから。でも、怖かった」


「すぐ来てやれなくてごめん」


さおりを守ると言いながら、結局さおりに怖い思いをさせてる自分に無力さを感じた。


大切な人を守ることができない。


それが悔しい。


さおりの身に危険が迫ってる。


「なあ、さおりの身が心配だし一度警察に相談しに行こうぜ」


そう言うと、さおりは首を横に振った。


「大丈夫…警察まで行っちゃうと拓夢にも迷惑かけるし大学にも支障がでちゃうよ」


「いや…でも、またアズマが何かしてくるかもしれないだろ?」


「何かあったら拓夢が助けに来てくれるでしょ…ね?」


それはそうだけど…


それ以上は何も言えなかった。