試しにドアノブを引っ張ると、鍵は開いていた。
部屋の中も明るい。
「さおり?」
玄関に入る。
そして、目を疑うような光景がそこにあった。
「たっ拓夢っ」
ベッドの上にはさおりと、さおりに馬乗りになっているアズマがいた。
アズマはさおりを強引にベッドに押さえつけ、左手で口をふさいでいる。
「拓夢ったす、けてっ」
さおりはもがきながら必死に助けを求めていた。
「さおり‼︎」
俺はベッドに駆け寄るとアズマをさおりから突き放した。
さおりの胸もとは、はだけてしまっている。
まさか、さおりアズマに…
「大丈夫か?あいつに何された⁉︎」
さおりの両肩を掴んで問い詰める。
さおりの肩は恐怖で震えていた。
「アズマ君が無理やり…私をベッドに押しつけたの」
さおりは今にも消えてしまいそうな声で話した。