それはジュジュに同情しているようでもあり、自分の姿と重ね合わせてやるせなさを感じてる様子でもあるが、か弱い身分で男達につくそうとしている姿は本能的にハートをくすぐられた。

 ジュジュを見ていると、自分をさらけ出して注意を惹きたい気持ちも現れ、ムッカの心は知らずと開いてしまう。

 誰かに聞いてもらいたい、甘えが出てきてしまった。

「英雄気取りでいるけどさ、実際、オーガにあったら怖いもん。今のところなんとかやってるけどさ、もしまともに襲って来たら勝てるか自信ない」

「えっ?」

「俺達がここに居る本当の理由だけどさ……」

「コホン! おい、ムッカ、何を話し込んでるんだ」

 わざとらしく咳払いをして、マスカートが突然現れた。

「いや、別に。他愛のない会話さ」

 ドキッとしていたが、ムッカは何事もなかったように、笑顔をわざとらしく向けた。

「お前は情が入ると、弱気になるからな。余程ジュジュが気に入ったんだな」

「うるせい!」

「ムッカは、寂しがりやだから、美味しいものを食べて母親の事でも思い出したんだろ。そして恋しくなってついついジュジュに愛情を求めてしまった」

「なんでそうなるんだよ。馬鹿にするのもいい加減にしてくれ」

「だったら、弱気になるな。私達は課せられた仕事をするのが目的だ。それがここに居る理由だろ。それは誰もが知ってることだ。今更何も言う必要はない」

 マスカートは目を細めて威圧した。

「わ、わかってるよ。ただ、ちょっとジュジュに無理するなって言いたかっただけだ」

 少ししどろもどろになりつつ、自分がもう少しで何もかも話しそうになっていたことに気がつき、ムッカはばつが悪くなっていた。

 ジュジュの一生懸命さは自分の姿を見ているようで、どこか辛くなり、それでいて受け入れてやりたくて、確かに箍(たが)が外れていた。

 マスカートが現れなければ、自分の心の中を無意識に吐露してしまっていたかもしれなかった。

「まあいい。確かにジュジュがここに居ると、いつもと違った気分にさせてくれる。あれだけ美味しい料理を作ってくれれば、私も何かを感じずにはいられない。実は前の彼女が料理が上手くて、優しかったんだ。それなのに……」

 元カノの話をしだしたマスカートが、いきなり自分の世界に入り込んでいく。

 虚ろな瞳になると突如湿った空気が流れてきだした。

 そうして別の空間に飛ばされ、周りが見えなくなり、別の人格が現れだした。