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 食事しながらの他愛のない会話は、打ち解けるにはもってこいの機会だった。

 実際、ジュジュは男達の腹を満たしたことで、その存在感を存分にアピールし、誰もが歓迎的にならざるを得なかった。

 モンモンシューも小さな体が功を奏し、可愛がるにはもってこいの愛玩動物とされ、ちょっかい出さずにはいられなくなる。

 ジュジュが側にいる以上、モンモンシューも変な事はできないと自覚しているが、小さくなったために普段できない事ができるのを楽しんでいる様子でもあった。

 ジュジュは追い出されては困るので、このどさくさに紛れてこのお屋敷に留まりたいと必死になる。

 食事の後は、素早く片付け、掃除までアピールしだす程だった。

 リーフが帰って来るまでに四人が味方につけば有利になるかもしれないし、屋敷がきれいであれば、リーフも自分をここに置く価値があるかもしれないと思ってくれるかもと、打算的な計画であざといが、なりふり構ってられなかった。

「そんなに無理しなくていいんだぜ」

 台所の隅々を丁寧に拭いていると、ドア付近にムッカが現れ、ジュジュの働き振りを見かねて苦笑いしていた。

「そこまでして一生懸命になる姿は、なんか見ていて痛々しい」

 ジュジュの手元が止まると同時に、その言葉に自分の本心が見透かされているのが恥かしくなってしまう。

 おどおどとしていると、ムッカが近づいてきた。

「別に出て行けって俺は言わないけどさ、あまり気をつめたら疲れてしまって、結局は帰りたくなっても帰りたいとは言えなくなるぞ。適当でいいのさ」

 ジュジュはなんて答えて良いのかわからず、もじもじとしていた。

「その様子じゃ、余程、家に帰れない事情でもあるんだろ? まあ、ここに入る連中もさ、結局は逃げてきて、ここに居るようなもんだしな」

「逃げてきた?」

「別に悪いことしたとかじゃ、ないんだぜ。なんていうのか、自分の思うようにいかなくて挫折して、それで自信を取り戻したくて半分ヤケクソでやってきたようなもんなんだ。だからなんていうのか、ジュジュが一生懸命にしてる姿を見ると、なんか自分の姿を見てるようになったんだ。俺も、結構無理してここに居るから」

 粋がっていたムッカがやけにしおらしかった。