「さあ、皆さん、座って食べて下さい」

 男達は席に着くなり、目の前のお皿に飛び込むようにがつがつと食べだした。

 口々に「美味しい」「うまい」を言いながら、ジュジュの料理を堪能していた。

 バルジだけは特別何も言わなかったが、一口食べたときに、明らかに目が見開き、その味に反応し、そして黙々と何度もフォークを口に運んでいた。

 ジュジュは目の前で沢山食べてくれる男達の様子に、ガッツポーズをとりたいくらい満足していた。

「あれ、ジュジュは食べないの?」

 カルマンが口に入れようとしていたフォークの手を止めた。

「私は、残ったものを後で頂けたらいいです」

「何、遠慮してるんだよ。今一緒に食べないと何も残らないよ」

 ムッカが立ち上がり、テーブルの端で突っ立ってるジュジュの側に近寄って、肩を掴んで椅子に無理やり座らせた。

 ジュジュは突然の事にされるがままになり、きょとんとして座っていると、お皿が男達の手によってテーブルを一周するようにパスされ、その度に料理が次々に盛られていく。

 最後にジュジュの前に置かれた。

 自分が作ったものだが、材料はこの屋敷のものなので、ジュジュは自分に配分があるとは思っていなかった。

 まだここに居ていいという許可もおりてないだけ遠慮して、後で非常食として持ってきた木の実で空腹をしのぐつもりでいた。

「ありがとうございます」

 ジュジュは祈りを捧げるように、前で手を組んで言った。

「これだけ美味いもの作ってくれたんだ。俺、ジュジュがここで働くこと賛成になっちまったぜ」

「おいおい、ムッカ。簡単に意見を変えるもんだな。気安く言ってくれるけど、やはりここは危ない場所でもあるんだぞ」

 マスカートは、口許を軽くナプキンで拭きながら、まだ難色を示していた。

「慎重になるのもわかるけどさ、俺達が作る料理と比べ物にならないし、この屋敷に居れば、一応、危険はないだろ……」 

 ムッカは歯切れ悪く言うと、居心地悪い気持ちを抱き、慌ててまた席に戻って、誤魔化すようにガツガツと食べだした。