そのとたん、壁だと思っていた部分が引き戸のようにスーッと動く。

 モンモンシューもこの時は一時停戦して一緒になって様子を見ていた。

 その向こう側には小さな部屋が現われ、更なる書籍が棚に並んでいた。

 そこで何かにぎょろりと見つめられ、ハッとする。

「誰かいるのか?」

 だがそれは動くことなくじっとしたままだった。

 よく見れば、カルマンのよく知ってるものだった。

「あれ、なんでこれがこんなところに」

 モンモンシューもそれに近づき、先日地下室で見たものと同じだと思って、じろじろ見ていた。

「おっと、こんなことしてられない」

 カルマンは再び辺りを物色しだした。

 そしてやっと自分の欲しいものを見つけた。

「あった。やっぱり隠してたんだ、魔術界の禁断の呪文書」

 禁断の呪文書は滅多に市場に出回る事がない、魔術界のトップにしか見ることが許されない本だった。

 なぜリーフがこれを持っているのか分からないが、そんなことよりも、それがここにあるという事が人生最大の幸運だった。