皆がリーフの負傷で慌てている中、カルマンだけが落ち着いていた。

「えっと、ここかな。それともここかな。くそっ、一体どこだよ。早くしなくっちゃ。折角、バルジの声を真似してリーフをここから追い出したのに、無駄になっちゃう」

 リーフの書斎でカルマンが何かを探していた。

 普段は入れない部屋。

 みんなが騒いでいる間がチャンスだった。

「プギャー」

 不意に後ろからモンモンシューがカルマンの背中に体当たりする。

「いて、なんだ、チビか。邪魔しないでくれ」

「モキュッ、キュキュ、キュー!!」

「うるさいなもう」

 カルマンは容赦なく、モンモンシューをはたいた。

 モンモンシューも負けずに、再びカルマンに向かっていく。

 そのやり取りが何度か続き、カルマンのイラつきも最高潮に達した。

「邪魔しないでっていってるでしょ」

 モンモンシューを掴み、そして思いっきり投げつけた。

 そこにあった本棚にモンモンシューはぶつかり、モンモンシューも最高に腹が立って、カルマンに火を噴出した。

 カルマンの服にチリチリ燃え移り、カルマンは慌ててそれをはたいて火を消すが、中々消せずにあたふたして闇雲に動き回っていた。

「アチチチチ」

 騒ぎまくっていると、部屋の壁に掛かっていた絵にぶつかり、ガチャンと落としてしまう。

 やっとの思いで火を消し、前方を見れば、絵の掛かっていた壁のところが四角く空洞になっている。

 なんだろうと近づいて中を覗けば、下に引っ張る取っ手がぶら下がっていた。

 カルマンは迷わずそれに手を掛け、強く下に下げた。