この薄暗い中で、リーフの横腹からじわりと黒い沁みが広がっていくのが見え、それが何かと気がついたとき、ジュジュは無我夢中で叫んた。

「誰か、誰か来て!」

 その声を聞きつけて、マスカート、ムッカ、バルジが駆けつける。

「どうした、ジュジュ!」

 ジュジュがしゃがみこみ、リーフを支えている。

 そのリーフのわき腹が血で染まっていた。

「リーフがナイフで刺されている!」

「一体何があったんだ」

 マスカートもムッカも顔を青ざめショックを受けていた。

 ジュジュは泣きながら、森の暗闇の中に向けて指を差した。

「セイボルが現われて、それでそれで……」

 ジュジュは信じたくなかった。

 セイボルがリーフを刺すわけがない。

 しかし、長い髪がなびいていたのを見てしまった。

 マスカートとムッカはジュジュが指差した森の中めがけて走っていく。

「ジュジュ…… うっ」

 リーフが息を荒くしながら、必死に何かを伝えようとする。

「リーフ、喋っちゃダメ。バルジ、なんとかして」

 バルジはリーフを抱え、台所の勝手口へ駆け込み、調理台のテーブルの上にあったものを無造作に押しのけ床に落とした。

 その上にリーフを寝かし、戸棚から酒を取り出してそれを傷口に掛けた。

 リーフは焼けるような痛みに、苦しみもがく。

「ジュジュ、清潔な布だ」

「はい!」

 ジュジュはキビキビと言われた通りに用意する。