「どうしても答えないのか。ならば、私がジュジュに夢中だといえば、どう答える?」

 ジュジュは思わずリーフの顔を見てしまう。

 私を助けてくれた人。

 ずっと恋焦がれて思ってた人が、自分に夢中だと言ってる。

 リーフのその真剣な顔と一緒に、もう一つの顔が同時に重なる。

 セイボル。

 自分はどうしたというのだろうか。

 この時、ジュジュははっとした。

 同時に二人を好きになってしまったのではとその可能性に、自分でも衝撃を受けていた。

 同じ顔という事に惑わされ、ジュジュはこの二人を分けて考えられない。

 リーフもまた、無理にジュジュを抱きしめ、そして顔を近づけた。

「ジュジュ、はっきりと教えて欲しい。私とセイボル、ジュジュはどちらに気があるのだ?」

 ジュジュは答えられなくてただ喘ぎながら、抵抗した。

 暫くどちらも引けを取らずに、揉み合っていたが、これ以上ジュジュを抱きしめていられないことを悟り、リーフの方が折れてジュジュを解放する。

「すまない、無理やりなことをして」

 ジュジュはすぐさまリーフから離れ、桶を手に取り屋敷に戻ろうと小走りになったその時、背後で「うっ」という鈍い呻き声が聞こえた。

 ジュジュが振り返れば、そこには長い髪がなびくシルエットがリーフのそれと共に重なっていた。

「セイボル?」

 ジュジュが名を呼んだ瞬間、リーフが突然地面に膝をついて倒れこみ、もう一人は長い髪をなびかせてすぐさま森の中へと掛けていった。

 一瞬の事で頭が混乱するも、リーフが苦しんで悶えている姿にハッとして、ジュジュは持っていた水桶を落とした。