ずっと恋焦がれてた人がやっぱりこの屋敷に居て、それが誰だか判ったなんて言ったところでどうする。

 それがリーフだと判ったからといって、単純にリーフに自分の思いをぶつけることができない。

 ジュジュが助けられた人を求めてここに来た理由を知っているにも係わらず、リーフは気がついていたのにそれをなぜ言わなかったのか。

 一時は探すのを諦めて、セイボルとの密会を楽しんでいた自分。

 今更リーフが助けてくれた人という理由だけで、セイボルを無視できなくなっていた。

 二人が同じ顔という事もすごく混乱を招き、どっちが好きか決められなくなっていた。

 もつれ合った紐がぎゅっとするほど絡み合い、まっすぐに解けない状態。

 考えれば考えるほどわからなくなり、ジュジュは彷徨っている。

 カルマンを前にして彼を見ているはずなのに、目の焦点が合ってない。

 カルマンはジュジュの顔の前で手のひらを左右に振って、呆れた顔をしていた。

「ちょっと、ジュジュ、もしもし、聞こえる?」

「えっ?」

「ダメだ、ジュジュ壊れてるよ」

 ジュジュはなんとか誤魔化せないかと頭を働かした。

「あの、昨日からモンモンシューがいなくて……」

 それは事実だった。

 キスを迫ってきたセイボルを突っぱねて逃げてきてから、モンモンシューが自分に寄り付かなくなった。

 その理由はなぜだか分からないが、モンモンシューは自分の体を犠牲にしてまで一緒について来てくれたからジュジュが煮え切らない態度でいたことが気にくわなかったのかもしれない。