翌朝、マスカートとムッカが朝食を期待してダイニングルームに入ってくるが、そこにはいつもは準備されてる朝食がない。

 お皿やカップすらもなかった。

 二人が顔を見合わせている時、カルマンが現われた。

「えー、朝食ないの? どうして?」

「まだ出来てないだけさ」

 マスカートが隣の台所の様子を見に行けば、静かで誰も居なかった。

 後ろからムッカとカルマンも覗き込む。

「一体ジュジュはどうしたんだ?」

「昨日の夕食もすごく簡素だったし、なんかいつもと違ったよね」

 三人は首を傾げていた。

 バルジが外から薪を持って台所に向かってやってくる。

 マスカートが一応訊いてみた。

「外でジュジュ見なかったか?」

「いや、見なかったが。ジュジュがどうかしたのか」

 「それがさ、まだ朝食の支度ができてないんだ」とカルマンが言えば、ムッカは「いつもなら温かい湯気と共に笑顔で朝を迎えてくれるのにだぜ」と付け加えた。

「昨日もなんか変におかしかった様子だった。もしかして具合でも悪いんだろうか」

 マスカートが病気説を疑うと、誰もがハッとしてジュジュの部屋めがけて走って行った。

 ドアをノックし、暫くすると閂を外す音が中から聞こえ、ドアがゆっくり開いた。

 隙間からぬぼっとジュジュが恐る恐る覗く。