常に恥かしがって、モジモジとするようなセイボルが、急に態度を変え、大胆になった。

 それがセイボルなのかリーフなのかジュジュには混乱を招く。

 セイボルは打って変わって、リーフになりきろうとしていた。

「ジュジュ、私はジュジュが好きでたまらない。会えば会うほど、ジュジュに夢中になってしまう。ジュジュを手に入れられるのなら、私は何だってする」

「セイボル……」

 大胆な告白に、いつものセイボルらしさが感じられなかった。

 それはリーフのようにも見えた。

 ジュジュはこんな時でも、セイボルとリーフがごっちゃになっている。

 こんな気持ちのままでいる時に、セイボルがキスをしようと迫ってきている。

 どうしてこんなにも二人を混同して、考え込んでいるのか、ジュジュはそれに気がついたとき、セイボルを押しのけた。

「ジュジュ」

「セイボル、ご、ごめんなさい。その、ち、違うの。私、その、今はうまく説明できない」

 ジュジュは焦ってしまい、走って逃げていく。

「ジュジュ!」

 セイボルは追いかけられなかった。

 これ以上の深追いはセイボルにはできない領域だった。

 リーフならきっと無理してでも追いかけ、そしてジュジュを捕まえて、むりやりにでもキスをするだろう。

 だが、自分はセイボルだ。

 リーフではない。

 モンモンシューが心配してセイボルに近づいた。

 そして強く主張する。

「プギャー、クゥー!」

「もしかしたら、お前の言いたいことわかったかもしれない」

 情けなく惨めになりながら、モンモンシューに微笑んだ。

「さあ、ジュジュの元に帰るんだ。また後でな」

 モンモンシューはセイボルを心配しつつ、そしてジュジュを追いかけた。

 先ほどまで、おとぎの世界だったこの空間は、ただの森の中に戻っていた。

 動物達もセイボルの事などどうでもいいかのように、それぞれ餌探しに忙しく動きだしていた。

 全てのものが自分を見捨てる。

 突然周りが色あせ、底抜けな寂しさの中にはまって、表に出て来れない気分だった。

 暫くその場に突っ立って、セイボルは大きな溜息を吐いていた。