「セイボル、いつも楽しませてくれてありがとう。この森での生活がとっても楽しいわ」

「でもジュジュは、屋敷の連中と居る方がもっと楽しそうだ」

「そんな事ないわ。でも、みんなと一緒にセイボルもそこに居たらいいなって思う」

「それができないのはジュジュも知ってるだろう。あいつらは私に敵意を持ち、嫌ってる」

「それが不思議なの。セイボルはとても穏やかな人なのに、どうして皆、危険人物とみなしてるのかしら。全然そんなことないのに」

「仕方がない。あの屋敷にはリーフの存在があるからさ。みんなは雇い主のリーフの味方になるしかないのさ」

「それが理由なの? そんなのおかしいわ。セイボルは何もしてないのに、リーフと対立してるだけで悪者にならないといけないなんて」

「ジュジュはそんなリーフの事をどう思う?」

「どうって、それは、その、私にとっても雇い主ってことだわ」

「それってどういう意味? いやな奴と思っていても、悪く言えないってことかい?」

「リーフは嫌な人ではないわ。あの人も内面は優しい人よ」

「えっ?」

「リーフはわざとああいう態度をとっているとしか思えないの」

「まさか、ジュジュはリーフが……」

 セイボルの表情に陰りがみえ、目を泳がせていた。

 突然元気がなくなり、オロオロして踵を返して落ち着きなく歩き回る。

「セイボル?」

 そして急に動きを止め、真剣な眼差しでジュジュを見つめれば、目元がキリリときつくなり、それはリーフの表情に近づいた。

 ジュジュの腰に手を回し、セイボルは力任せに引き寄せた。

「ジュジュ、私がリーフのように振舞えば、どうする?」

「えっ?」