台所でキビキビと慌しくジュジュが動いていた。

 工夫を凝らして、手でつまみ易いスナックをお皿に盛り付けているところだった。

 そのお皿を見つめ、暫く考え込む。

 そして閃いたように、また忙しく動き、色々といじくる。

 彩りのいい野菜や果物を添えて見栄えがよくなるように工夫していた。

 ちょうど食材が沢山運ばれてきた事もあり、いい感じに作れたとジュジュは満足していた。

 これなら気に入ってもらえるかもしれない。

 ふとそう思った時、自分で『誰に?』と自問してしまい、突然ハッとした。

 また気を取り直し、それをトレイにのせ書斎の前まで運んでいくと、バルジが後ろから慌てて走ってきた。

「私が運ぶ」

 ジュジュにとったら、少し自分をアピールしたい事もあった。

 正直、リーフがどんな顔して料理を見るのかも知りたかった。

 だが、書斎に入ってはいけないと最初に約束させられた事を思い出し、寂しく断念する。

「それじゃバルジお願いするわ」

 トレイを渡したその時、目の前のドアがいきなり開いた。

 ジュジュはドキッとして身構えれば、赤ら顔のマーカスが顔を出していた。

「おお、これはおいしそうじゃ。あんたが作ったのか?」

「はい」

「ほぉ、リーフ、この子は料理がうまいぞ。なかなかいい子じゃないか」

 開いたドアの奥にリーフの後ろ姿が一瞬チラッと見えたが、バルジがジュジュの前に立ちはだかって、それ以上中を見ることができなかった。

「ここは私に任せて、下がった方がいい。マーカスもすでに出来上がってる。絡まれたら大変だ。さあ、早く」

 バルジに言われると、ジュジュは仕方なくその場を後にした。

 中ではマーカスがうるさく何かを話してるが、ドアが閉まると、聞こえなくなった。

 ジュジュは一度振り返るも、自分は一体何を未練がましくドアを見つめているのか判らなくなり、さっさと去った。

 こうなると一人で居るのが急に寂しくなり、モンモンシューを探した。

 屋敷には居る様子がなかったので、裏庭に出ると、モンモンシューが誰かと戯れていた。

「セイボル!」

「だから、声がでかい」

 そんなに困っている様子もなくにこやかに笑っている。

 そして、まるで飛び込んで来いとでもいいたげにジュジュに両手を差し伸べた。