ジュジュの仕事が一息つき、水の入った手桶を持って、モンモンシューと一緒に廊下を歩いていると、バルジが地下へいく扉を開けて中へ入っていこうとしていた。

 いつも鍵が掛かっているその扉が開いている。

 ジュジュは好奇心から、バルジを呼び止めた。

「なんだかとても忙しそうね」

「ああ」

「いつも鍵が閉まってるけど地下室には一体何があるの?」

「ワインが貯蔵されてる。リーフのコレクションなんだ。マーカスが飲みたいらしいから、取ってこいと命令された」

 普段リーフがお酒を飲んでる話は聞いた事がなかった。

 食事の時も、お茶は飲むが、ワイングラスを使ってるところは見た事がなかった。

 ジュジュがいつも食器洗いをするので、ワイングラスを洗った覚えがない。

「マーカスが酒飲みで、ここに来る時はそれも目当てでやってくる。リーフは集めるのが趣味で、こういう時くらいしか飲まないんだ」

「それじゃ、何か一緒に食べられるものも用意した方がいいかしら」

「ジュジュの手を煩わせなかったら」

「わかったわ。すぐに用意するわ」

 ジュジュはなんだか張り切ってしまう。

 リーフには料理がおいしいと褒められている。

 何かワインに合うおつまみを作れば喜んでもらえるかもしれない。

 そんな事を考えるだけでドキドキしてしまった。

 さっさと台所にいってしまうと、モンモンシューは置き去りにされて、行き場をなくしてしまった。

「チビ、一緒に地下に来るか。お前が来ても問題ないだろう」

 バルジに特別扱いをされて、モンモンシューは喜んでバルジの肩に止まった。

 モンモンシューが喋れないのをいい事に、バルジは色々話してしまう。

「いいか、この地下で見たものはジュジュには言うんじゃないぞ」

「クー?」