本日は当店をご利用いただきまして誠にありがとうございました。
柏木とレジで会計を済まし、レストランを出る。
「美味しかったね!柏木さんダンディだったし」
「確かに美味しかった。なんか話して最後疲れたけど」
真弓に続き、わたるも今日のコメントを言った。
「略奪愛だしね。真弓聞いててドキドキしちゃった」
「略奪愛言うな!ああ、もうなんか言わなきゃよかった……」
「ところでさ、その元彼とはまだ連絡とってんの?」
素朴な疑問を、景子がわたるに投げかける。
「もうとってないよ。流石に取ってたら今の彼氏に失礼だろ」
「だよね」
うんうんと頷く景子の後ろで、真弓と佑香がくだらない話をして盛り上がっている。
見た目は対照的な二人だが、誕生日が一緒ということもあって、時々恐ろしい程意見が一致する事があるらしい。
大概それはくだらないことだが。
「ねえねえ。この後どうする?」
景子とわたるの間に入って真弓は言った。
時刻は夜の八時。
まだまだ物足りない。
「名残惜しいー。久々だもんね」
続いて景子が答える。
「うちのおばあちゃん今夏休みで別荘行ってるから、おばあちゃんに電話で家にあがっていいか聞いてみようか?」
わたるの言葉に、皆がそれぞれ賛成した。
口では色々言っているが、どうやらわたるもこのメンバーが大好きなようだ。
「流石、リア充マスターワタル!お嬢様!」
「お嬢様じゃないよ。おばあちゃんが土地持ってるだけだよ」
「それを世間ではお嬢様って言うんだよ」
「ねえねえ、真弓。ここから下赤塚までどうやって行くの?」
電話を始めたわたるを尻目に景子が真弓に尋ねる。
「池袋まで出て東武東上線じゃね?うちら通学路に使ってたじゃん」
「真弓と篠村はそっちだけど、うちは赤羽からバスで学校通ってたもん」
「あ、そっか」
納得し、真弓は鞄の中からスマートフォンを取り出し路線図を景子に見せた。
「おばあちゃん、いいって」
電話を終えたわたるが祖母の了承の意を得たと報告すると、彼女達ははしゃいだような声をあげる。
「やったー。じゃあ、コンビニでお菓子買ってこうよ」
「まだ、食べるの?篠村」
「なんか、おつまみ系のもの欲しくない?」
「確かに食べたいかも……」
真弓が佑香の意見に賛成する。
「じゃあ、下赤塚の駅に着いたら、ファミマあるから、そこ行こうか」
「ってかさ、花火もしたくない?」
「したいかも!しちゃおっか!真弓ナイスアイディア。ねえ、野田のおばあちゃんの家にバケツある?」
「あるんじゃない?」
尽きる事のな話を次々と話しながら、彼女達は次の目的地へと向かい始めた。
Fin