朝、目覚めるとオースティンの姿がない。


慌てて起き上がると、香ばしい香りが鼻腔をくすぐる。


「オキタカ?」


冷蔵庫の中から近所のスーパーで買ってきた卵とベーコンを取出しながらオースティンは言った。


昨日と同じ笑顔で朝の挨拶を交わし、真弓を乱れさせたその指でパンケーキとベーコンを器用に調理していく。


「How many do you want to eat it ?(どのくらい食べる?)」


「Two(二つ)」


プレートの上にパンケーキを乗せるオースティンに答えてから、真弓はTシャツとジーンズだけ着た彼の傍に立った。


寝る際に、彼が貸してくれたTシャツは真弓の身体に随分と大きい。


料理している男の横顔をずっと見つめていると軽く啄むようなキスをされた。


片方だけ少し跳ねた黄金の髪が、フライパンの上にあるベーコンを返す度揺れる。


互いに顔を見合わせ笑った。


ご飯を食べたらもう少し一緒にいよう。


そう言葉を乗せるオースティンに、頷く。



そういえばいつ帰国しちゃうの。


と頭の中で浮かんだ疑問を今彼に問いかけるのを真弓はやめた。