渋谷の駅に到着してから二分。


今度は迷子にならず、待ち合わせ場所に到着する事が出来た。


今日のスタイルはロングの髪の毛を巻き髪にし、ピンクのワンピースに白いPコート。


お嬢様風ファッションだ。


前回の失敗も得て、今度は前回よりも温かい格好で来ている。


今度はくしゃみごときで失敗してはいけない。


待ち合わせのハチ公前で、忙しなく行きかう人々を眺めながら相手を捜す。


それから数十秒後に目当ての人を見つけ、真弓は駆け寄って行った。


「Hi(どうも)」


前回と変わらない様子でオースティンは挨拶をする。


「Where do you want to go today?(今日はどこ行きたい?)」


急かしてしまうような言い方になったのは、早く落ち着いた場所で色々な話をしたいと思ったからだ。


「You choose. I don’t know where there are good places.(君が決めて。いい場所を知らなくて)」


「Ok. Let’s go(分かった。行こう)」


「Thanks. By the way I like your fashion.(ありがとう。ところで、今日の君の格好好きだな)」


唐突に服装を褒められて、顔が熱くなる。


その様子を見て、オースティンは優しい眼差しを浮かべたまま真弓の手をとった。



「え……手繋ぐの?」


「Don’t like it?(嫌?)」


笑みを崩さず言う彼に、真弓は顔が熱いのを感じながらも首を横に振る。


「別に嫌じゃないないけど」


大人しく手を繋いだままいる真弓をオースティンは了承の意と解釈したのか、繋がれた手は解放されることなく強く握りしめられた。


冬なのに身体が熱い。


前回のデートはそんな雰囲気全くなかったのに、一体どうしたのだろうか。


と疑問を頭の中で浮上させつつ真弓は目的の店へ足を運んだ。