「それで、その後お茶して帰ったんだろ。分かったって。その話もう三回目」


 電話先で、わたるは少しばかり面倒くさいという声色で言った。


「どうかな?」


「何が?」


「次あると思う?」


「知らないよ。そのアメリカ人に聞け」


「アメリカ人じゃない。オースティン!」


「はいはい、オースティンに聞いて下さい」


「でも、デートから帰ってきてからメール来ない」


「それ前も言ってなかったか?その後すぐ来たんだろ?」


「はあ……カルチャーショックかな」


「カルチャーの意味分かってないだろ、お前」


「オースティンの将来の夢、小説家なんだって」


「成功しないと行く末はヒモだな」


 唐突に話題が変わる真弓に慣れたと言った様子でわたるは答えた。


「現実的すぎる!ってかヒモって……就職はするのかな?」


「知らないよ」


「なんか今日わたるご機嫌ナナメだね。こーすけ君と何かあった?」


「同じ話を三回、誰かにされたら君も分かるんじゃないか?」


苦笑いといった声が電話先から聞こえてくる。なんだ、そんなことか。いつものことだ。


「だって久々にキュンってきたんだもん」


「まあ、頑張れ」


「付き合えるかな?」


「さあ、次のデートで聞いてみれば?」