一限目が終了し、二限目の授業が終了すると、景子から連絡が入っている。

佑香はガラパコス携帯を開き景子に折り返した。


「あ、篠村?」


「景子?」


「今どこ?」


「敷地出たよ」


「わかった、うちが今からそこに行くから待ってて」


「分かった、じゃあね」


通話時間三十秒。それからすぐに景子は佑香の場所までやってくる。


「おまたせ。行こう。前から行きたかったカレー屋があるんだけど、そこでもいい?」


「カレーいいね」


景子の案に佑香は乗り、二人は歩きながら目的の場所まで歩いて行った。


店の中に入ると、昼時である為に店の中は賑わっている。


外国人のスタッフが二人を席まで案内し「注文キマッタラ、ヨンデクダサイ」と言った。


「篠村何にするの?」


「うち、このゆで卵トッピングしてるAランチにする」


「えー、じゃあ、うちはBランチにしよう」


スタッフを呼んで、注文をし終えると景子は佑香の方へ向き直り口を開く。


「聞いてよ、俊さんがさ。女の子の生徒からお菓子貰った話とか、私に言うのどう思う?」


三年以上付き合っているらしい社会人の彼氏の名前を挙げながら、景子はおふきで手を拭いた。


どうやら彼氏はアルバイト先の塾を経営している会社の親会社に就職したらしい。

そして未だに時々生徒を持って受験のアドバイスをしているとの事だった。


「モテるんだね」


 無難な言葉しか頭に浮かばず、思い浮かんだ言葉をそのまま口に出す佑香。


「違う!何でそういう話こっちに言ってくるんだと思う?」


「焼きもち焼かせたいんじゃない?」


「なんか、そういうのストレス溜まる!だってさ、メールだってこっちの方が多くしてるのに、仕事で返信少ないしさ。別にそこはいいんだけど、そういうデートとか言われた話をこっちにされても不安にさせられるだけだし」


「彼氏さんに言ってみればいいじゃん。どういうつもりなの?って」


「駄目だよ。そんなこと言ったら重い女だって思われるじゃん。ありえないし」


「景子はなんて言ったの?」


「ムカツクから聞こえないふりした。その後抱きついてきたけど、すごく腹たったからすぐ帰ったし」


 テーブルの上に置いてある水を一気に飲み干して、景子は新たに水を注ぐ。


「大変そうだね……」


素直な感想を述べ、佑香も水を飲んだ。


水が半分まで減ったコップに景子が足してくれる。


「ところでさ、篠村は?」


「何が?」


「彼氏とかいらないの?」


「えー、うち?」


「そうだよ。いつもうちの話ばっかりじゃん。たまには篠村の恋愛話聞かせてよ」


「うちはいいよ。いないし」


「好きな人くらいはいるでしょ」


「好きな人って訳じゃないけど……」


そう言った後、頭の中に浮かんだ大月の顔。


好きという感情がどういったものなのか未だによく分からないが、大月は好きか嫌いかの分類に分けると好きな方だ。


だが、それが恋に当てはまると言えば正解とも言い難いというよりも、分からない。


「えー、恋だよ。篠村に恋がきた!」


はっきりとした口調で景子は断定する。