定刻になり、篠村は更衣室の中で私服へ着替える。
「そろそろ、エプロンも持って帰ろう」
指定され配布されたエプロンをリュックサックの中に詰め、佑香は呟いた。
パサッと音がし、佑香は振り向く。そこには先ほどイメージをまとめたメモ帳が落ちていた。
それを広い、リュックサックの中に入れる。
これがないと今日のまとまらなかった絵の仕上げが出来ない。
支度も整い更衣室を後にする。
外へ出ると秋風が身を包みこんだ。
温かいような肌寒いような風が吹き抜けていく。
そろそろ焼き芋のおじさんの声が聞こえてくる時期だなと、独りで笑っていると
「篠村さん」
大月の声が背後から聞こえてきた。
「あ、大月さん。お疲れ様です」
「もう上がりですよね」
「はい」
「じゃあ。一緒に帰りませんか?」