…!
はっ!としてシルバーナさんを見る私たちに彼女は真剣な顔をして言葉を続けた。
「皆さんも、パーティに招待しますわ。
もし、来ていただけたなら、ギルに会えると思います。」
“父が主催の社交パーティ”…?!
私が改めてシルバーナさんを観察すると、服やネックレスなどはいかにも高そうだ。
話し方や所作からも品の良さが感じられる。
…シルバーナさんって、もしかしてすごいお金持ちのお嬢様なんじゃ…?
まさか、偽ギルはシルバーナさんのお金を狙って彼氏になったのかな?
そう考えると、全てがしっくりくるような気がした。
カウンターから出てきたレイとロディを見上げると
二人も私と同じことを考えているような顔をしている。
その時、ロディがシルバーナさんに向かって腕組みをしながら尋ねた。
「…彼氏さんがお忍びで来るって言っても…
そんな格式高いパーティ、一般人の俺たちが行ったら確実に浮くと思うんだが?」
すると、シルバーナさんは少し考え込む仕草をして、はっ!と思い付いたように答える。
「父には、ルミナさんを私の友人、あなた方二人をルミナさんのボディガード、ということにして伝えておきますわ。
それなら特に問題はないでしょう?」
!
私は、シルバーナさんの案を聞いて頭の中で考える。
確かに、シルバーナさんからそう伝えてもらえれば、私たちは自然にパーティ会場に入り込めるかも…!
ロディがレイと顔を見合わせて、納得したように息を吐くと
目を細めたレイがシルバーナさんに向かって口を開いた。
「それじゃあ遠慮なく、次の週末、パーティに参加させてもらうぞ。
お父様によろしく伝えてくれ。」
シルバーナさんは、小さく頷くと、私に封筒を手渡した。
「中に入っていると招待状に地図も載っているので、それをご覧になって来て下さい。
時刻は午後八時。屋敷でお待ちしておりますわ。」
その時、シルバーナさんは私に向かってにこり、と微笑む。
…?
私が彼女を見つめ返すと、シルバーナさんは囁くように私に言った。
「ルミナさんは、必ず来てくださいね。
もちろん、可愛くお化粧をして。」
!
シルバーナさんはそう言い残すと
ひらり、と優雅に手を振って酒場から去っていった。
…最後のは、どういう意味なんだろう…?
パーティだから、ちゃんとした格好で来てくださいってこと…?
私は、細やかな装飾の施された封筒を見つめる。
…社交パーティなんて、参加するのは初めてだ。
少し、胸がドキドキする。
マナーとか詳しく分からないから、ちょっと心配だな…。
そっ、と招待状を胸に抱いてレイとロディを見上げると
二人はお互い何かを考え込むようにシルバーナさんの出て行った扉を見つめている。
ロディは、心配そうな顔でレイに言った。
「…レイ。お前、偽物のギルを見つけても、いきなり喧嘩売ったりするなよ?」
すると、レイは、しれっとした顔で静かに答える。
「おー、分かった、心配すんな。
…スマートかつ大人の対応で、丁重にクレームつけてやる。」