今日も男の子は傘を持っていなかった。

「傘……ささないと濡れちゃうよ。」

「そうだ……私ね、嫌なことあって、相談したいんだけど、いいかな?」

私は喋らない彼に話しかけた。

「私、嫌な夢見たの。私がとても大事な人……誰かわからないけど。と喧嘩して……それで、私が車に轢かれそうになって、彼は助けてくれた。でも彼が……」


私は泣きじゃくった。

彼は優しく撫でてくれた。

彼の行動でメッセージが伝わってきた。

『大丈夫。元気出して。その彼はきっと君のこと恨んでない。今でも大好きだと思う。』