ポストの前に人影があった。

ちょっと怪しいが近寄ってみる。

私と同じぐらいの歳の男の子。

爽やかな感じの顔だったが、雰囲気はどんよりしていた。

あれ?

私は違和感に気付いた。

男の子は傘を持っていない。

土砂降りなのに。

ちょっと怖かったが、勇気を出して話し掛ける。

「あの、君、傘……」

男の子は首を振った。

そして、微笑んだ。

その後に男の子は走って消えてしまった。