「あぁもうやだあ」
お昼休み。今日は1日中テストだから唯一の息抜きの時間。
朝の強気な発言とは比べものにならないような声を出して、美月が机に倒れこんだ。
「ねえ梨佳、どうしよう……やばい」
後ろから魂の抜けたような美月とは違う声が聞こえた。
この声は。テストで人一倍テンションの下がる人は。
「隼斗、できないのわかってんだからちゃんと勉強すればよかったじゃんよ」
やっぱりか。美月が呆れている。
後ろにも机に倒れているのがいた。
「やっても出来ないんだもんしょーがないじゃん」
でも明らかに美月とは負のオーラの量が違う。
いつも憎まれ口ばかり叩いている隼斗が、ちっちゃく可愛い男の子に見える。