墓地に着いた時にはもう辺りは真っ暗になっていた。
懐中電灯が配られ、男女ペアがどんどん墓地の中へ入っていく。
美咲ちゃんは怖い怖いと涙目になりながら冬馬に訴えている。
か弱い女子の見本みたいな。
そんな美咲ちゃんを見て冬馬は笑っているけど、もうわかる。
その目が愛おしい人を見つめる瞳だってことは。
腕にしがみついている美咲ちゃんを自分の方へ引き寄せ、暗闇へ消えていった。
隼斗に腕をぐんっと引っ張られた。
気づくといつの間にかあたしたちの番だ。
「行くぞ」
後ろにいる美月と目を合わせ、エールを送った……つもり。
あたしがなにも喋らないから怖いのかと思ったのか、隼斗はそのまま手を離さず進んでいった。
怖いのは事実だから正直、頼もしく思った。