なんとなく教室に戻ろうと歩いていると、隼斗と廊下で会った。
「おう梨佳。聞いてよ、俺シフト入りすぎじゃね?まじブラックだろ──ってどうした?」
あたしの異変に気づいたらしく、隼斗がしゃがみ、顔を覗き込んできた。
その瞬間、涙腺が壊れボロボロ涙が止まらない。
「え、梨佳っ?またなんかあったか?」
「ごめん。違う。なんでもない」
明らかに動揺する隼斗に、文章になっていない言葉で謝り、横を通り過ぎようと右へ踏み出した。
が、それは隼斗の腕によって制止された。
隼斗の左腕が、あたしの前に出て右肩をつかんだ。
「その状態でどこ行くの?お客さんもまだいるよ。ついてきて」