いつになったらこの痛みは消えるのだろう。
そう思う反面、この痛みが消えるのが怖いと思っている。
隼斗があたしの中からもいなくなってしまいそうで。
何度も立ち止まり、振り返り、あるはずのないその姿を探し、求めていたあの頃。
もう前になんか進めないと思ってた。
でも、大切な人と出会い、家族ができた。
あたしは今、幸せだよ。
隼斗との記憶はあたしの胸の奥で、小さく光る灯火のように暖め、時に痛め、あたしを前へと押し出してくれる。
隼斗と出会えて、よかったよ。
隼斗と出会ってなければ、こんなにあたたかい気持ちはきっと知らないままだった。
あたしはそっとケータイに1枚の写真を映し出した。
それは、文化祭の時に撮った写真。
健吾とあたしと美月と、隼斗。
記憶が戻る前には見えなかったその姿は、ちゃんとあたしの隣に写っている。
嫌そうな、だけどどこか楽しそうな顔をした隼斗が。
どこを探してももうあなたの姿はないけれど、一緒に過ごした時間は確かにあった。
あたしの中には、ちゃんと存在している。