─────『幸せになってね』









遠くのほうで優しく、儚い声が聞こえた。




その言葉と同時に、途切れていた糸が繋がり、押し寄せるように記憶が流れこんでくる。




苦しい




苦しい……っ




「はや、と……っ」




今まで感じたことのないくらいの頭痛におかされながらやっと出した声は、あまりに懐かしく、愛おしいあの人の名前だった。




どうして……




どうして、今まで忘れていたの。




あんなに大好きなあなたのことを……




疑問


混乱


嬉しさ


愛おしさ



様々な感情が入り乱れる中、大事なことを思い出した。




─────『俺はこの世界から消える』




あまりに哀しい現実を。



─────『そういう運命なの』




そう言ったあなたの哀しい眼を。