「どこへも行かないで……」
隼斗は、あたしが無意識のうちに服のすそをつかんでいた手をゆっくりとはがした。
「ごめん……」
ごめん、なんて言葉が聞きたいんじゃない。
そして、あたしは思い直した。
あたしが伝えたいのも、懇願の言葉なんかじゃない……
たとえ、隼斗が未来のあたしの息子だったとしても。
今は、クラスメイト。
だから、伝えてもいいよね?
あたしの気持ち。
「隼斗」
今度は、真っ直ぐ。
涙で視界がぼやけても。
この想いが伝わるように。
あたしの全てが、伝わるように。
満面の笑みで、隼斗の目を見つめた。
「────好きだよ」