それからどのくらい時間が経っただろう。




辺りはすっかり真っ暗で、月明かりで照らされた水面は神秘的に輝いていた。




「落ち着いた?そろそろ帰らないとね」




隼斗はそっと立ち上がり、遠くを見つめた。




「……やだ」




あたしの手の届かないところまで行ってしまいそうな隼斗の腕を必死に掴み、あたしも立ち上がった。




「もう、真っ暗だよ?」




「だって……もっと隼斗といたい」




隼斗の袖を掴み返し、うつむいた。




動揺した息づかいが真上から聞こえる。




こんな告白まがいなことも、恥ずかしい、だなんて思わない。




この時間がどれだけ大事なものなのか、わかるから。





「俺は明日までいるよ。今日は帰ってゆっくり休みな」




そう言って、あたしの手を優しく、しっかりと握り、あたしの家に向かって歩き出した。